小長井整形外科医院

小長井整形外科医院 整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科 静岡県静岡市

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腰部椎間板ヘルニアについて

椎間板ヘルニアの治療には化学的治療、理学療法などの保存的治療と手術的治療に大きく分けられます。

 

【保存的治療】
保存的治療は手術をしないで治す方法の総称です。色々な治療方法があります。

 

●内服

消炎鎮痛剤で炎症を抑えて、痛みを軽減させます。ビタミンB12製剤で下肢の神経痛の改善、筋弛緩剤で腰の症状を緩和させるなど、薬の効果を期待します。よく消炎鎮痛剤は病気を治す効果は無く痛みを、一時抑えるだけですよねと質問する方があります。確かに消炎鎮痛剤でヘルニアが消失することはありませんが、周囲の炎症による腫れを抑えることで、神経への圧迫が緩和されることが期待できます。また内服を継続することで、少しずつ痛みの閾値が低下し症状が軽くなっていきます。

 

●座薬

座薬は内服の消炎鎮痛剤より痛みをとる効果に優れています。肛門から挿入するため胃痛、胃不快感が少ない薬です。一日2回くらいで使用します。

 

●外用剤

外用剤は腰の痛い部分や神経痛の部分に貼ることで皮膚より痛みを抑えます。温湿布と冷湿布がありますが、病院、診療所から処方する湿布は、たいがい痛み止めの成分が入った湿布で冷やす、暖める目的ではなく痛みを和らげるために使います。したがってどちらでも気持ちの良いほうを使用してもらえばよいのですが、長時間使用すると温湿布はややかぶれ易い傾向があり、冷湿布を良く使います。かぶれ易い人は塗り薬もあります。基本的には暖めたほうが痛みは楽になるので、お風呂に入って暖めたりするのも有効です。

 

●注射

注射は腰背部に痛み止めを打ったり、仙骨裂孔ブロック、硬膜外ブロック等で下肢の痛みを改善させる注射をします。

 

●仙骨裂孔ブロック

外来で仙骨裂孔ブロックをよくやります。急性期には1週間に1回注射をし、計10回ぐらいで終了します。注射は腰が10分くらい鉛のように重くなりますが、あまり痛みはありません。徐々に症状が改善してきます。注射の内容は局所麻酔薬、微量のステロイド剤を使用します。ステロイド剤はリウマチ疾患や膠原病によく使われています。一日10ミリグラムのステロイド剤を、毎日1ヶ月以上使用すると顔がむくんだり、30から60ミリグラムの使用で糖尿病、大腿骨頭壊死等が出現する可能性があります。ブロックでは2ミリグラムのステロイド剤を使用していますが、1週間に1回、10回くらいでは、副作用はあまり心配ないと思います。消極的な治療はむしろ痛みを長引かせるので、神経痛の患者さんには早く痛みから解放させてあげるのも必要なことだと思います。

 

●理学療法

保存的な治療の中で理学療法は非常に大事な治療です。理学療法には温熱療法、牽引、低周波、マッサージ、コルセット、運動療法等が含まれます。コルセットは腰の局所の安静を保つのに有意義です。ただしあまり長期間していると腰背部、腹部の筋肉が落ちてしまいますので固定期間は急性期の2から3ヶ月くらいにとどめたほうがよいでしょう。

温熱療法が主体となります。マイクロ波や赤外線、ホットパックといった温熱療法により腰周囲の筋肉の血行を良くして痛みを和らげます。ホットパックにはこのような乾式と湿式があります。マイクロ波は比較的深部の関節に温熱効果をもたらし障害の改善に効果があります。ただし、ペースメーカーなど体内に埋め込まれている患者さんには治療できません。

 

理学療法

 

理学療法

 

●牽引療法

牽引療法は骨盤にバンドを巻き下肢を引っ張る方法です。入院では持続牽引を4から10kgほどの重さで、長時間行います。外来患者さんでは間欠牽引を20から30kg程度で行います。引っ張る角度や、重さにより急性期では症状が増強することもあり注意が必要です。20キロくらいで引っ張り痛みが出たときには中止します。少し腰が張って重だるくなってから、牽引を開始すると好結果が得られます。牽引の効果は個人差が大きく、必ず医師の指示のもとで行う必要があります。腰のマッサージも緊張した筋肉を改善するためには良い方法です。

 

●低周波療法

下肢のしびれ、痛みには低周波療法が効果的です。電気を下肢に流すことで神経に刺激を与え、神経痛、しびれ感の症状を軽減させる方法です。
その他、ソフトレーザー治療器も局所の疼痛の緩和に有効です。

 

低周波療法 理学療法

 

低周波療法 理学療法

 

低周波療法 理学療法

 

低周波療法 理学療法

 

●運動療法

腰痛、下肢痛が軽減したらストレッチや下肢筋力増強運動等が必要です。まずはストレッチです。背筋を伸ばす運動です。ストレッチの原則はゆっくりと反動をつけずに伸ばしていき痛くなったらそこで止めて20から30数えてまた元に戻す方法です。アキレス腱を伸ばす運動です。ストレッチ中は呼吸を止めずにリラックスして行います。大腿四頭筋を伸ばす運動です。できれば一日のうち何回か行います。大腿の裏のハムストリングを伸ばす運動です。なるべくひとつの筋肉ごとにストレッチを行うようにしましょう。

 

●筋力増強訓練

腹筋を鍛える訓練です。あくまで病気の後なので無理せず行っていきます。背筋を鍛える方法です。一度に10回とか回数を決めてやるとよいでしょう。下肢の筋力を鍛える訓練です。できれば足首に3から5キロのおもりをつけて挙上するのも効果的です。殿筋を鍛える訓練です。

腰が痛いときは寝かた、起き方に注意をしましょう。膝を屈曲して寝ると楽になります。起きる時も背筋だけ使って急に起きないようにしましょう。

これも良く聞かれますが、これらの治療のうちどれをしたら良いですか。という質問です。痛みが強いうちはいろいろと組み合わせて治療するようにしています。湿布だけとか飲み薬だけ飲んでいても、なかなか症状が取れません。いろいろと組み合わせて、痛みをコントロールします。ただし自分は飲み薬で胃に痛みがでる、湿布でかぶれる、注射がどうしても苦手という人は、できない治療は除いて組み合わせます。いくら効果のある治療法でも、個人的には合わないということもあります。個人個人に一番適した治療を組み合わせ、治療の計画を立てます。
急性期の2ヶ月くらいは重いものを持ったり、重労動は避けたほうがよろしいかと思います。ヘルニアの出た組織が不安定なため、再脱出を起こす可能性があります。十分に注意をしましょう。

2~3ヶ月間、保存的な治療をして症状の改善を期待します。
このとき自然縮小の可能性や圧迫があっても、神経が元気になり、症状が改善する可能性について話をしないと、患者さんは、治療してもよくならなかった。といって来院しなくなります。
十分な説明と理解が必要です。症状が改善されれば、保存的な治療の継続と先ほどの運動療法を加えます。症状が改善せず、痛みが強く、歩行困難、下肢筋力の低下や麻痺、排尿障害が出現し、日常生活に支障をきたしているときは手術治療も考えます。当然、手術は臨床症状と画像所見、検査所見が一致しなければ行えません。

 

【手術的治療】

手術方法はヘルニアの大きさ、症状、形などにより各種ありますが、基本的にはヘルニア摘出術、通称LOVE法が行われます。後方より進入し骨を削らず黄靭帯を切除し、神経をよけてヘルニアを摘出する方法です。1938年にLOVEという方が開発し、以後60余年引き継がれている手術法です。少し骨を削って見やすくした変法と共に確立した方法です。

 

●レーザー治療

最近はレーザー治療によるヘルニアの蒸散法が巷で話題になっています。普通の手術と違い保険適応されておりません。手術をしないでヘルニアが治るといううたい文句ですが、ヘルニアの種類でも後縦靭帯を破らない膨隆タイプで、症状が保存的治療でも改善しないものに効果があります。しかしながらマスコミやインターネットを通じてあたかもすべての椎間板ヘルニアまたは腰痛疾患に効果があるかのような錯覚を与えているのが現状です。ほとんど治療効果がない脊柱管狭窄症や変形性脊椎症の患者さんも興味をもたれ問い合わせてきますが正確な検査と、診断を元に適応があるかないか決まる術式と思われます。